婿 殿 は 地 縛 霊 コミック シーモア。 夢野久作 ドグラ・マグラ

けれども、その音調はトテも人間の肉声とは思えないほど 嗄 ( しゃが )れてしまって、ただ、底悲しい、痛々しい 響 ( ひびき )ばかりが、混凝土の壁を透して来るのであった。

また、西域に向かう悟空を執拗に追いかけ、一時は捕らえる寸前まで行く。

講釈師(こうしゃくし) 本編の案内人。

……のみならず、果して貴方が、正木先生のお言葉の通りに、過去の御記憶の全部を回復される事に相成りますれば、その必然的な結果として、貴方が 嘗 ( かつ )て御関係になりました、殆んど空前とも申すべき怪奇、悽愴を極めた犯罪事件の真相をも、同時に思い出されるであろう事を、かく申す私までも、信じて疑わなかったので御座います。

天狐編では、神将でさえ容易に近づけない瘴気を放ち、天狐の血の暴走に苦しむ昌浩に近づき、その血の暴走を止め、救った。

一見すると真面目一辺倒の僧だが、天竺に辿り着く為なら多少の無茶は目をつぶる一面も持つ。

……と思い思い、ものの五分間もいい心地になっていると、今度は私の枕元の扉の鍵穴が、突然にピシンと音を立てた。

そうして眼の 球 ( たま )をコスリまわしながらよく見ると、すぐ足の爪先の処に、今の騒動のお名残りの三切れのパンと、野菜の皿と、一本のフォークと、 栓 ( せん )をしたままの牛乳の瓶とが転がっている。

私はガッカリして部屋の真中に引返して来た。

末孫の昌浩を大事に思っていて、可愛がりながらもおちょくりすぎたせいか、怒らせたり「古だぬき」・「たぬき爺」と呼ばれたりする。

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……まして彼女が呼びかけている人間が、たしかにこの世に現在している人間で、しかも、それが私以外の人間であったとしたらどうであろう。 ……寝台の脚を探しまわった。 。 私は大の字 型 ( なり )に 凝然 ( じっ )としたまま、 瞼 ( まぶた )を一パイに見開いた。 仏寺に入門したその日にをすべて破ったことから八戒と呼ばれる。 アクションコミックス版では竜児女が使っていた。 この巨大な紳士が見かけに似合わない柔和な、親切な人間らしく思われて来たので、ホッと溜息をしいしい顔を上げると、その私の鼻の先へ、 恭 ( うやうや )しく一葉の名刺を差出しながら、紳士は又も 咳 ( せ )き入った。
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